日本では現在、約40年ぶりのインフレが進行しています。40年前というと1980年代初頭あたりまでのインフレ時代。まだ生まれてない方や、生まれていてもあまり覚えていない人も多いでしょう。その後バブルが崩壊し、失われた数十年といった日本の停滞が続きました。ただ、停滞といっても、インターネットの発展などもあり、この数十年、色々便利にはなりました。また、物が安く買えて、預貯金にお金を置いておけば、結構、安定した生活が送れた時代だったのではないでしょうか。
しかし、急に世界は変わりました。食料品、電気代、日用品……あらゆるものの価格が急激に上昇し、今まで、どう頑張っても起きなかったインフレが(日本はインフレを起こそうと必死で頑張っていたのです!)、急激にあらわれました。
世界で何が起きたのでしょうか?
これはずっと続くのでしょうか?
そして、これからどうしたらいいのでしょうか?
これから、そういったことについて考えていきたいと思います。もちろん、お分かりかと思いますが、これはビットコインクイズなので、最終的には、ビットコインはいいよ!という結論にはなるのですが、それはそれ。結論だけ言われても、到底信じられないでしょう。というか、インフレを煽って危ない投資をさせる、というのは証券業界の定番商法のようなもので、眉に唾をつけながら聞くのが正解です。ましてやビットコイン!
そのため、結論はさておき、そこに至る根拠、理屈に注目して読んでいってもらえれば幸いです。
さて、経済の変化について考えるにあたって、まず、次の言葉を紹介させてください。
「私の約50年間に及ぶグローバルなマクロ経済投資において、私を驚かせた最も重要な出来事は、自分の生涯で、それまでに起こったことがないからこそ、驚かされたということを嫌というほど思い知らされました。」
これは、ヘッジファンド界の帝王とも称され、現在も金融界の賢者とされるレイ・ダリオ氏の言葉です。※下記参照
この言葉が意味することは、経済の変化は、人の一生を超えた長いスパンで起きることがあるという事、そして、そういった大きな変化には、過去の経験だけでは対応できない
ということです。
経済には短期的な景気・不景気の波がある一方で、10数年に一度の金融危機や、数十年に一度の国の発展・停滞のサイクルがあります。その中には、一生に一度しか経験しない、あるいは一度も経験しないような大きな変化も含まれます。例えば、20世紀初頭の世界大恐慌、その後に続く、世界大戦、それから現在に至るまで続く、アメリカを中心とした世界秩序の変化・・・などです。
今のインフレが、もしも決定的な時代の変化の一部だとしたら、「いままでうまくいったから、これからもうまくいくだろう」という発想では、うまくいかないどころか、傷を深くすることになるかもしれません。
しかし、個人の人生において一度しか経験しないようなことでも、人類全体の歴史を振り返れば、同じような事が、繰り返し繰り返し起きています。それらを学ぶことで、未来に対して、適切な対応策をとれる可能性が高まります。上のレイダリオ氏の言葉は、そのような意味の言葉です。
ただしそれは、心理的には、居心地がよいものではないかもしれません。なぜなら、人生を通じて、経験的にうまくいったこととは、全く違う事を、理性を頼りに、やらなくてはならないかもしれないのですから。
さて、歴史や人生などと、大げさな話になりましたが、今そこにある問題に戻りましょう。
これからも預貯金をしていればいいのか、それとも気持ちを切り替えて、投資をしていくべきなのか?将来設計は、年金に頼っていればいいのか、何か別のリスクを取らないといけないのか?
こういった目の前の問題です。このような問いを考えるために、インフレについて学んでみましょう。歴史から学べる、インフレの特徴はたくさんありますが、ここでは重要な事を、簡単にいくつか挙げておきます
インフレを理解するにおいて、おそらくこれが、もっとも重要な事です。貨幣的な現象というのは、国家がどのように貨幣を発行し、管理し、世の中に流通しているか、というようなことです。
逆に、貨幣的ではなくて物の価格に影響を及ぼすこととしては、例えば、政治情勢の変化により原油の価格が上がるとか、気候変動の影響で野菜の値段が上がる、とか、AIの発展に伴い、特定のもの(例えば半導体)の需要が高まって高騰した、というようなことがあります。
しかし、歴史を振り返ると、長期的なインフレは、そういったことよりも、貨幣の発行や管理といった、貨幣の流通についての要因が、極めて決定的なのです。このことは、物価→貨幣ではなく、貨幣→物価である、なんていう表現がされたりもします。
法定通貨と呼ばれる現代の貨幣において、貨幣の価値が保たれるには、人々の「信用」が必要不可欠です。信用されているうちは貨幣として機能しますが、一度信用が崩れると、その価値は急落し、紙くず同然になることもあります。人々の心理的な変化というのは、思った以上に急速であり、急激に甚大な影響が発生し得るのです。歴史を振り返ると、貨幣の信用が一瞬で失われたケースが多々あります。紙屑となった紙幣で子供が遊んでいる写真などを社会科で学んだ記憶がある人も多いでしょう
貨幣の信用が失われる背景には、政府の過度な貨幣発行や、財政赤字の拡大が関係しています。ここでも、国家がどのように貨幣を発行し、管理し、世の中に流通しているか、というようなことが重要になります。
この二つの特徴は、ビットコインの主要なテーマとも関連します。
次に、インフレが一過性なのか、持続するのかを見極めるのは非常に困難、という事があります。上に書いたように、インフレの要因として、国家の貨幣に対する管理が極めて重要なのですが、歴史上には、政府がインフレは制御できている、インフレは終わった、と発表した後に、実際には再度インフレが発生、制御不能に陥った例が数多くあります。例えば、1970年代のアメリカでは、当初、収まったとされたインフレが長期化し、結果的に高金利政策を取らざるを得なくなりました。インフレは、予測不能で、コントロールも難しい、野生の獣のようなものだと言われる所以です。ここでもまた、貨幣というものに対し、国家がどう対応するか、という事が論点となってきます。
そして最後にインフレの特徴として、社会の中で「得をする人」と「損をする人」を不公平に、時に気まぐれに生み出す、ということを挙げておきましょう。
例えば、インフレ時に資産を現金で持っている人は、その価値が目減りするため大きく損をします。一方で、たまたま固定金利の住宅ローンなどで、大きな借金をしていた人は、借金の実質価値が下がるため有利になります。特に、政府や企業は借金を利用することが多いため、インフレによって負担が軽くなることが多くあります。また、インフレによって給料が上がるペースが物価上昇に追いつかない場合、労働者の実質所得は減少します。特に固定収入の年金生活者などは、大きな打撃を受けます。
さらにインフレが進行すると、ゴールドや一部の不動産、株式などの資産価格も上昇することがおおく、それらを所有している人は利益を得ます。一方で、資産を持たない労働者は物価上昇の影響を直接受け、生活が苦しくなる、といったことが起きうるのです。
以上、若い世代の日本人が経験してこなかったインフレの特徴でしたが、インフレは歴史を見れば、珍しい事ではなく、蓄積された知恵はたくさんあるわけです。未来が過去の韻を踏んでいくかどうかはわかりませんが、経験ではなく歴史から導ける理性的な結論を参考にしつつ、世界の変化に挑むことが望ましいでしょう。
まとめます
ということです。
ところで、40年ぶりのインフレという話をしましたが、先に挙げた、レイダリオ氏は、現在起きていることは、40年、どころではなく、さらにもっと巨大な変化の過渡期だ、と告げています。それは、ざっと80年から100年にわたる、アメリカが覇権国となった後の経済サイクルが、今、後期段階にきている、という話です。
それは、現在の法定通貨、ドルを中心とした貨幣の仕組みの栄枯盛衰の話でもあります。
レイダリオ氏の本は、簡略版が、youtubeで日本語動画として無料公開されており、世界的にとても評価が高い動画なので、興味がある方は、ぜひ観てみてください。
一本は「30分でわかる経済の仕組み」
もう一本は、その名もずばり「変わりゆく世界秩序」
(※上述の言葉はここからの引用です)
です。さらに、レイダリオ氏は、2025年1月には最新の本も無料で公開しているようなので、興味がある方はぜひ調べてみてください。
ちなみに、このレイダリオ氏、ビットコインも結構、推してるみたいですよ(笑)